しかし、あれだ、

今日で大阪のベンチャーキャピタルでのインターンの3/4が終了。社会復帰に向けてのリハビリとはいえ、連日6時半起き&炎天下でのスーツは結構つらい。きじインデアンカレーはがくれ亀すしあらうま堂など梅田周辺のS級グルメを謳歌する傍ら、いろんな人と名刺交換させてもらって、語って、思った所感。(結構長くなりそう。)

  1. 自分の肩書きが学生というのは、つらい。。。でも、自由だ。
  2. 今の日本について感じている問題意識は、どれも共感できる。
  3. 50、60代のエスタブリッシュメント層の見識は凄い。何とか再利用できないものか。

一つ目。インターン先の社長さんのネットワークは本当に凄まじい。まさに人脈ハブのような人だ。3週間足らずで、いろんな経営者や会社役員、弁護士、会計士、医師、大学教授、官僚、大企業を勤め上げて顧問やら理事をやっているような人と会って、名刺交換させてもらった。皆さん、その世界の第一人者ばかり。で、やはり痛感するのは、今の自分は単なる一学生という肩書きしかないということ。これはつらい。なんというか、名刺交換しても自分自身がどんな人間かを説明する時間がどうしても掛かるので、話の切り口が難しい。当然同じ業界・大学出身など共通項があれば、それが取っ掛かりとなり、それなりに盛り上がって、仲良くなれるのだが。
「ああ、今の自分は何にも持ってないんだなぁ。」と偉い人たちを前にして改めて感じる。

一方、こういう肩書きのないつらさを感じることはすごくいいことだと思う。この経験をコンプレックスにして頑張ろうと思うし、将来どんな地位や肩書きになろうとしても、肩書きのない身一つの状態を経験しているのとしてないのとは、大きな認識の違いが生じてくると思う。僕は会社に属したとしても、それに束縛されない「個」というものを今まで大切にしてきたし、今後もそうでありたいし、周りのみんなもそうであって欲しいと思う。

また、肩書きが学生というのは、多くの人たちに対して利害関係を生じさせないので、自由に話をしてもらえるし、こちらも自由に話ができる。今回はインターン生という立場上、自論を繰り広げるのは最低限にして、相手の貴重な話をなるべく聞くようにしている。会う人会う人、ちゃんと仕事をしてきた「人物」ばかりなので、その一言一言が本当に重たい。


二つ目。話の内容は、マクロなトピックに行き着くことが多い。それは、中国やシリコンバレーが仕掛けてきたグローバリズムだったり、家庭と少子化だったり、日本の製造業の疲弊だったり、CSR・環境問題だったり、Innovation to Cashだったり、小泉さんと安倍さんの政策だったり、官・民・学の壁だったり、とその時々で多岐に渡る。こうして挙げると、暗く非生産的な意見が出やすいテーマだけど、皆さん問題を認識しているだけでなく、前向きな解決策を持ってそれを実行している。僕はぐっと我慢して、つまらない自論を持ち出すことなく、その道の専門家の見解や経験談を聞くようにしている。それらは非常に単純明快で分かりやすく説明されるので、僕が日々モヤッと感じていることが、頭の中で綺麗にまとまっていく。そして痛く共感する。やはり年齢に裏打ちされた経験と説得力ってのは凄いね。

そしてオジサマ達は自分の世代で成し遂げられることの限界をちゃんと分かっていて、若い世代に期待することを説教臭くなく伝えてくる。何も成し遂げていない僕の年齢で、こういう偉い人たちに囲まれて本音が聞ける機会には、普通に社会人やってたら、なかなか出会えないことを認識しているし、さらには自分自身が彼らが言ってることを理解でき(理解できているはず?)、共鳴できることの、重さを推し量る。

自分もあと半世紀くらい生きるのであれば、その時間を掛けてじっくり腰を据えて、何か世の中、人のためになるような事をやり遂げて後世に残していきたいなぁと、今回のインターンを通じて再認識した。僕は天性の「オヤジ殺し能力」(オヤジから可愛がられる資質)というのを持っていると昔から自覚しているんだけど、特に今回のインターン先の社長さんは僕のことを気に掛けてくれている。僕の将来(もう31歳ですけどw)が楽しみだと掛値なしに言ってくれる。ベンチャー・キャピタリスト、特にこの人の"人に対する目利き能力"は半端じゃないので、こうして言ってもらえるのは、とても嬉しいことだし、期待に応えなくちゃならないなぁと思う。インターンの残り一週間で期待通りのパフォーマンスを出さねばならないし、社長さんとはこれから先もお付き合いさせて頂くことになりそうなので、彼の目が黒いうちに(笑)何とか世に立ち上がることで恩返ししたい。(少なくとも、アナキン・スカイウォーカーのようにダークサイドに落ちるようなことはないようにしなければ。)


最後に、あともう一つ思うこと。繰り返しになるが、やはり団塊世代と呼ばれている人たちのナレッジは凄い。しかも高度成長期に青春してきてるので、皆さん一様にポジティブな思考がベースとなっている。「引退して時間のできた団塊世代がブログを書き始めれば、ブロゴスフィアの質が向上してさらにネットの世界が盛り上がるよね。」という話があるけど、その難しさを認識しつつ本当にそうなればいいと思う。逆に、彼らの経験や知識がこのまま継承されることなく消えていくことは、日本にとって大きな損失だ。なんというか、彼らのグローバルな見識や経験(確固とした倫理観付き)と、若い人たちの気力、スピード感が上手く融合されて、新しいイニシアチブがそこいら中に生まれたら、日本の国際競争力は格段に上がるかもしれない。

特に理系と言うより(この呼び方は好きじゃない)、サイエンスの道を究めてきた人たちの世界観は、理論的だけど人間味に溢れ、様々な示唆に富んでいることが多い。この層の厚みは日本の強みなんだろうけど、残念ながら、どうも彼らはセルフ・プロモーションに興味なく、表に出てくることが少ないように思える。彼らは若い人に伝えたがっている一方で、同じ団塊世代同士で固まってる感もある。また、若い世代だって、何かやりたいのに、近視眼的・マスターベーション的な研究、ビジネスに留まっていたり、今の組織環境から出てこないで殻に閉じこもっていたりして、現状に満足しているよう。本当にもったいない。

リアルとネットの良いところ取りをして、これらを上手く繋げられるネットワーク・コミュニティを創出できれば、大きなインパクトを与えるし、それ自体にビジネスチャンスがあるはず、と考えてみる。


というわけで、長文・駄文。暗いニュースが多い中、プリンシプルのない日本でも十分戦えるはずだと思うわけで、皆さんがんばりましょう。


で、今日そんなことを思いながら話を聞いていて:

「で、山中さんは、卒業後どうするの?」と聞かれる。

「えーっと、ひとまずコンサルティング・ファームで働こうかなと。。」と答える。

で、その反応、「MBAからコンサルって、古いな。。。」

ある人からは失笑を買い、もう一人からは失望される。二人とも60越えのオヤジっす。いや本当にごもっともですわ。。。