レディフがGoogle、Yahooと買収交渉

レディフ(Rediff)という会社が、Google及びYahooとの買収交渉に入っているらしい。

で、「ポータル? しかも上場企業? 何を今更。。」と、かなり気になったので、どんな会社かちょっと調べてみる。

この会社、インドの会社で96年に設立、2000年にはNasdaqに上場を果たしている。主な事業内容は、rediff.com という国内外に住むインド人向けポータルサイトの提供と、India Abroad というUS在住のインド人向け新聞の発行。ポータルでは、ニュース、メール、マッチング(SNS)、ブログ、ショッピング/オークション、検索、モバイルなどの総合的なサービスを提供している。主な収益源は広告。

GoogleとYahooが、どんな魅力を感じて買収を検討しているのか考えてみる。事業報告書などを見ると、とくに技術やサービスが優れているわけではないように見える。(もしかしたら、ヒンズー語を初めとしてインドで使われている何十種類もの言語に対応した検索サービスなんかを提供してたらすごい。) 彼らにとっての魅力は、この会社が、インド向けというニッチであるがエマージングなマーケットに対して、現在数千万人のコミュニティを抱えていることとだろうか。あと、ここで働いている優秀な技術者の採用ってのもありそう。それから、双方ライバルに対する牽制。

以下、Yahoo Financeのブログの引用。

Rediff’s strength is its 53.6 million registered users (as of March 31, 2007), which is an increase of 25% over previous years’. The point that remains is that Rediff lacks a dominating niche, and there is no firm indication that this may be in the works.


It’s somewhat evident that Rediff lacks a clear growth strategy. And though the going has been not all that bad so far, there is no guarantee that the story will continue to be the same in times to come. If strong niche players usurp one or more of its perceived dominance, Rediff will be in for some serious trouble. Especially in the online classifieds area, there have been a lot of investment in verticals portals by venture firms (Online Travel, Matrimonials, Jobs, etc.).


Rediff's Acquisition Discussions May Be Driven By Growth Concerns -- Yahoo! Finance Blog

5,000万人以上のユーザを抱えながらも、ベンチャーが特定分野(旅行、仕事、結婚など)向けのバーティカル・ポータルを提供して追随してくる脅威に晒されていて、このようなニッチを支配しようという戦略に欠けているとのこと。そんでもって、巨人二社に身売りを考えるのは必然だと。

最近のGoogleの買収案件を見ていると、とりあえずエマージング・グロースな会社は何でもショッピングカートに入れているような印象を受ける。まあ、YouTubeの時もそうだったけど、元々Google AdSenseを提供するパートナーという位置付けだった会社が、ある程度コンテンツが充実しユーザを獲得した段階で、競争相手に育つのも嫌だし、買っておこうかという戦略か。Googleが川上に垂直統合しているという話があったけど、川下(ポータルや動画配信などのDestination Site)にも垂直統合を進めているというように見ることができる。

この戦略、買収される側にとって、Googleがまだ「Don't be evil」で正義があり魅力的であるから、友好的に行えるというもの。そうじゃなければ、買っても人材が流出する→上手く統合できない→シナジーが生まれない→でも敵対的(あまり友好的でない)買収を続けるしかない、という負のスパイラルに陥ることになる。

このニュースがあってから、レディフの株価は急上昇(今は若干落ち着いている)。リーク前は、Market Capが5億ドル程度の会社が、10億ドルもの額で交渉されているらしい。ひょっとしたら、決まれば、Googleにとって(Yahooにとっても?)公開企業を買うのは初めてかもしれない。


参考エントリ: