講演:起業家 松下幸之助とMOT(経営技術)

少し前になるけど、「新産業創成論・ナノテクベンチャー論」での講義の一つだった、松下電器の人材開発センター長の山添さんによる「起業家 松下幸之助とMOT(経営技術)」が面白かった。

松下電器の成り立ち、商品開発の歴史を振り返りながら「経営の神様」と称される松下幸之助の技術経営について紹介された。自ら開発を行っていた創業期、開発ディレクターとして活躍した建設期、企業の社会的役割を認識しリーダーとして活躍した活動期の各々の時期における幸之助の考え方や行動に関してビデオを交えて解説された。

約1時間半の講義は、RealPlayerで視聴できるので、時間があるときにどうぞ。

講義には出てこなかったが、彼の著名な経営理念として「水道の哲学」ってのがある。これは “供給量が増大すればすべての物資が無料同然になる” という考え方らしい。大量に生産しなるべく多くの人に使ってもらおうという考えは、設立当初、調達元に取り入って電池代をただにしてもらい、手持ち電灯を2万台ばら撒くことをやった例や、ラジオの特許を買い取ってフリーにし、顧客がより安価に商品を手に入れられるようにするという例に反映されている。

昨今IT業界を中心に、フリーソフトウェアオープンソース等のモデルの普及が、ユーザ数を増やし市場をより大きくするだけでなく、結果的に顧客の満足度と企業の価値も高め利益を大きくする、という考え方が常識になりつつあるけど、なんかそれに通じる。

今の我々にとっては、幸之助の先見の明のある行動に驚くばかり。当時はさぞかし常識破りに見えたんだろう。