「経営戦略と企業金融」WSの研究テーマ

曳野・杉浦ワークショップの研究テーマが決まる。僕らのチームは京都に本社を置く某メーカーのポストM&A戦略を追うことにした。

問題意識の根本は、最近のトレンドとなっているM&A、今後は今まで以上にM&A"した後の戦略"に注目が移っていくのではないだろうかという点にある。どうインテグレーションを行っていけばいいのか、果たして「シナジー」というのはあるのかないのか、という命題に関して、実際の当事者たちに何度かヒアリングをかけて、通年でレポートをまとめる予定。

機密保持の関係が発生するのでどこの会社か名前は挙げられないのだが、この会社、積極的にグローバルな買収を立て続けに行い成長してきており、企業風土もユニークで、以前から個人的に興味があった。(って言ったらどこか分かるか。。) 僕らのアプローチはまだかなりラフではあるが、M&A後の実際のシナジーについて以下の3つの視点から調査しようというもの。

  1. バリュエーション、コーポレートファイナンスの観点
  2. 人事、組織、カルチャーの観点
  3. 技術経営、製品開発の観点

研究範囲がかなり広くなってしまうため、一応1のファイナンスの観点を軸とする。それから、その主だった要因であるはずの組織や製品開発におけるインテグレーションに関しても副次的に分析する。

また、ポストM&Aというテーマであるが、比較対象が必要になるので"後"だけではなく、M&A実行前の状況(両社が統合しないでそのまま存続した場合の価値)や、実行時の戦略(当初のシナジー予想値)も調べなくてはいけないし、各ディールごと(買った会社・事業ごと)に異なる種類のシナジーに関してもに比較分析も行う予定。それから、同じようにM&Aを戦略的に行っている同業他社と比較してみるという案も検討するつもり。

診断対象の企業サマには、忙しい中ヒアリングやら資料の提示やらをご協力頂くわけであるが、M&Aのその後の結果がどうだったかなんて、中の人は振り返って細かく分析なんてしないはずだし、投資銀行コンサルティング・ファームも普通そんなことはしないので、先方にもメリットがあるはず。つまり、このような研究は我々のような暇な学生にもってこいであって、出来上がった報告書は、彼らの今後のM&A戦略の一助になること間違いなし(?)なのだ。研究結果はケースとしてビジネススクール内で再利用するというので大学も良し、我々も卒業単位が来る上、賢くなって良し。まさに近江商人バリに三方良しなのだ。

とまあ、一見たいそうな研究に見えそうだが、ここまで思いつき、30分くらい。ここから1ヵ月程度で研究計画書の作成と二次情報の収集を行う予定。さて、どうなることやら。


そういや、勤めていたサン・マイクロシステムズでも、業種がら積極的にM&Aをしていて、僕は、買った会社の製品の日本での展開を2件ほど担当してきた。全くカルチャーの違う会社が統合される過程は、巻き込まれて大変ではあるがとても面白い。もちろんサンでも失敗するケースはあるのだが、僕が担当した2社は、どちらもいい感じに新しい風を吹き込んでくれて、買った側も買われた側もお互いワクワクしたものだ。